コロナ禍以降、自宅での時間が増えたこと、人に会いにくくなったことから、ペットを飼う人が増えています。ペットは人の心を癒し、家族となってくれる可愛い存在。でも本当にお世話ができるのか? 今住んでいる部屋で飼えるのか? 不安なことも多く、踏み出せない人もいるのでは?
この連載では、ペットのいるご自宅にお邪魔して、そのお部屋と共に、ペットのいる生活について紹介していきます。
第一弾は“うさぎ”を飼っているふくだりょうこさんと“まろん”さん。うさぎはペットを飼うのが初めての人でも飼いやすいとよく聞きますが、実際はどうなのでしょうか?
※記事中のペットの飼い方には個体差があります。
ふくだりょうこ さん●ライター。シナリオのほかインタビュー、コラム記事などの執筆を中心に活動中。たれみみうさぎとやせ型の夫との3人暮らし。Twitter:@pukuryo

旦那さんのひとめぼれから始まった、うさぎとの暮らし
ふくださんのご自宅にお邪魔すると、リビングに入ってすぐに、うさぎさん用のケージとうさぎの“まろん”さんが待っていてくれました。ケージが思ったよりも大きい!
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まろんさんは4歳。ホーランドロップという種類の女の子。
ふくだりょうこさん(以下、ふくださん)はご実家でも動物をたくさん飼っていた経験があり、うさぎさんの飼い方についても慣れたもの。
「うちのケージはちょっと大きめかもしれませんが、このくらいの大きさだとうさぎさんがリラックスして過ごせると思います。朝と夜の2回「へやんぽ」(お部屋の中のお散歩)をさせるのですが、うさぎさんが歩き回る部屋の広さは6畳あれば十分だそうです」
まろんさんとの出会いは、ふくださんの夫、和久さんが勤務先の近くにあるペットショップでのこと。まろんさんを見て、ひとめぼれした和久さんは時間ができるとそのお店へまろさんさんに会いに行っていたそう。
ある日、まろんさんがいなくなっていたことに気がついた和久さん。店員さんに聞いてみたところ、まろんさんは別のお店で里子として出されている、とのこと。
どうしてもまろんさんと暮らしたくなった和久さんはふくださんに相談し、まろんさんを家族としてお迎えすることになったのです。
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「初めてうちに来たときは、警戒心が強く、怒ってばかりの子でした。もともと気が強い性格のようで、よく私たちを噛んだり、引っかいたりして。うさぎさんのマウンティング行為だそうで、警戒して、自分のほうが強いんだとアピールしていたんですね。それが、飼い始めて半年くらい経ったときに子宮の病気の予防のために避妊手術を受けさせてから、性格が穏やかになりました。ちょうどコロナ禍になり、私が家にいるようになったのも大きかったんだと思います。コミュニケーションをたくさん取るうちに、まろんさんの考えていること、気持ちがわかるようになってきました」
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まろんさんが来てから、夫婦の会話も増え、仲が良くなったと感じているというふくださん。
「結婚して10年になるのですが、子どもがいないこともあって、夫婦といっても、だんだん他人のようになっていくのが怖いなと思っていたところに、まろんさんを飼うことになって。まろんさんという共通の話題ができたことで、夫との会話も増えました」
ペットを飼うのに気になる住環境について
①部屋の中になるべくものを置かないこと。
特にへやんぽ中にうさぎさんが絡まってしまったりしないように、電気コード類はまとめてケースにしまうなどの工夫が必要。
▼まろんさんが紛れ込まないよう、棚には布をかけています。立派なシルバニアファミリーのおうちは和久さんの趣味だそう。
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②部屋の温度設定は20度~25度、湿度を40~65%に
うさぎさんの健康のため、夏も冬もこの適温を保つ必要があるので、エアコンは必須です。ふくださんはケージの横に空気清浄機を置いているのですが、これはまろんさんの餌の草類でくしゃみが出てしまうからだそう。草類のアレルギーがある方は気にする必要がありそうです。
③ケージの掃除は毎日行う
糞についてはうさぎさんは大きなものは食べてしまうため、へやんぽ中に部屋が汚れることはあまりないそう。ケージの中でした小さい糞は、お掃除してあげる必要があります。ふくださんのおうちでは毎朝8時にケージを掃除して、ごはんをあげるようにしているとのこと。
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ひとり暮らしや小さいお部屋で暮らしている人でも飼いやすいうさぎさんですが、ひとりぼっちにはしておけません。
「まろんさんは甘えん坊で、なでてほしいときは自分でアピールします。ケージにいれているクッションに両手をついて『どうぞ』というポーズをしたり、ケージから脱走するときもあります。脱走しなくても、ケージに鼻を押し付けて「出してほしい」と訴えてきたりも。やっぱりコミュニケーションを取ることで仲良くなれるので、かまってあげる時間は必要ですね」
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食事は朝8時と夜12時くらいの寝る前にもおやつを食べます。食事はチモシー(牧草)とペレットがメインで、おやつは乾燥したパパイヤやドライにんじんが好きだそう。たまに、大葉やバナナなども特別な日のおやつとしてあげています。
まろんさんのごはんは棚の中にたくさん用意しています。
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うさぎを飼うときの注意点は…?
「まろんさんを飼っていて怖いなと思うときは、体の具合が悪いときに気が付きにくいことです。うさぎさんは捕食される側の動物なので、体の具合が悪いことを隠そうとする習性があるので、ふだんと変わりないかを毎日見ていてあげることと、定期健診やグルーミングに月イチくらいで連れて行ってあげると良いと思います。
グルーミングは大切で、うさぎさんは基本的に毛づくろいで綺麗にします。耳の中の水が入ったり、乾くときに急激に体温が下がって風邪をひくなど命に関わる危険があるので頭からお湯を浴びせる行動は絶対にNG。特別に汚れたというとき以外は水にぬらさないように注意が必要です」
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日常生活では、へやんぽ中の怪我も心配なところ。うさぎさんの骨は犬や猫に比べるとずっともろく骨折をしやすいため、高いところに上らないように注意してあげたり、だっこ中に落としたりしないように!
「それからうさぎさんは耳で体温調節をするのですが、まろんさんの場合はたれ耳なので、調節がしにくいので、体温も気を付けてあげる必要があります。体調が悪いとうさぎさんの耳は冷たくなるので、わかるんです」
うさぎの感情表現は?
「まろんさんは気持ちがいいと歯ぎしりします。怒っているときは足をダン!と踏み鳴らすのですぐわかります。グルーミングに連れていくためにキャリーを持ち出すと怒り出します。意外とうさぎさんって感情表現が豊かで、機嫌が悪いときは目つきが悪くなったり、甘えているときはリラックスした顔になったり表情も豊かなのに飼ってから驚きました。」
▼お顔を自分でくしくししてキレイにします。
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まろんさんがおうちに来てから「涙もろくなった」と言うふくださん。
「動物が出ている番組などを観るとすぐに泣いてしまうんです。怒ることも減りましたし、落ち込んだときはまろんさんをなでていると気持ちが落ち着く。長期で家を空けられないなど気を付けるべきことはありますが、やっぱりペットがいる生活はいいですよ」
ストレスが減り、穏やかな気持ちで日々を過ごせるようになったふくださん。涙もろくなったのもきっと、硬くなっていた心を柔らかくしてくれる“もふもふ”うさぎさんのおかげ。住環境を整えたり、お掃除など大変なこともありますが、やっぱりペットを飼うって素敵なこと。
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「ただ、動物を飼うと決めたからには、日常で『その子を最優先する』覚悟は必要です。生き物を飼うのにはやっぱりその子の命を預かる責任がありますから。本当に生活の中でその子を優先してあげられるかをよく考えてから、飼うことを決めてくださいね」
ペットを飼うことで、変わる日常。それはわたしたち人間に小さな愛のある毎日をもたらしてくれるはず。
Photo by 今井 淳史 Text by 藤坂 美樹