自身のSNSに投稿した笑顔の写真が「奇跡の1枚!」と話題になり、昨年は「舞台『鬼滅の刃』で竈門禰豆子役に抜擢されるなど、今、若手女優として注目を集めている髙石あかりさん。18歳という若さながら、はっきりとした目鼻立ちの美貌と確かな存在感に引き寄せられるファンが急増しています。
宮崎県出身で、現在は親元から離れ、東京で暮らしている髙石さんに上京時のことや物件探しについてから、7月30日(金)から公開となる初の主演映画「ベイビーわるきゅーれ」のことまでたっぷりお聞きしました。
髙石あかり(たかいし あかり)●2002年12月19日生まれ、18歳、宮崎県出身。2016年にダンスヴォーカルグループ「α‐X’s(アクロス)」のメンバーとしてデビュー。2018年グループ卒業、2019年より女優として本格的に活動をスタートする。舞台「鬼滅の刃」竈門禰豆子役で注目を集めると、映画「ある用務員」ほか、AbemaTVで放送中の「箱庭のレミング-私刑俱楽部-」にも出演している。
10代での上京「実家を離れる不安よりも楽しみが勝っていました」

− 髙石さんは宮崎県のご出身です。上京してきたときはどんな感覚でしたか?
「その前から東京にお仕事などで来ることは多かったので、東京に住むことに対しての抵抗はなかったんです。でも一番覚えているのは、住む家が決まったときに母に『私の家はここだから』って言ったらしいんです。
それを聞いた母は実家に帰ったあとに寂しくて泣いたらしくて。私としてはホームシックもなくて、それよりも新生活が楽しみだったからなんですけど、ほんと申し訳ないことをしたなって思っています(笑)」
− すごい。寂しいと思わなかったんですね。
「そうですね。それよりも、ここでの生活が楽しくなるように、楽しみを探そうって思っていました。私が中学生のとき、宮崎から東京に仕事で来たときに、飛行機が飛ばなくて帰れなくなったことがあるんですけど、そのときは母に電話したら『頑張って!』って言われて切られたので、そういう母親だと思っていて、まさか泣くとは、って思いました(笑)」
− 物件探しはいかがでした?
「初めて上京したときに住んでいた家は、ネットで調べて、駅近であれば都内から離れてもいいかなというのがあったので、1時間くらいかけて仕事場まで通っていました。広くなくてもいいし寝られればいいなと思っているので、そんなに条件はなくて(笑)。
でも最近は駅から歩いたほうがヒップアップにもなるし、別に駅近でなくてもいい気がしているので、そうなると住む場所はどこでもいいのかもと思い始めています(笑)。こだわりがないんですよね。正直、テントとかに住んでいても全然いいかなって思うくらい」
− たくましい!(笑)
「条件とか物はそぎ落とせるなって思います。ただ、食器は真っ白のものがほしいです。全部、真っ白でそろえたい! 今持っている食器はいろんな色のものなんですけど。お皿洗いが楽しそうじゃないですか? 真っ白のお皿を洗いたいんです」

− 家電へのこだわりはいかがですか?
「それも、もし誰かが選んでくださるならおまかせします(笑)。でも今住んでいる部屋も、条件が細かくあったわけではないんですけど、内見したときにピンときたから決めたのかもしれません。日あたりがよかったのは決め手だったかも。大きい窓には憧れがあるかもしれません。次に引越すなら窓にはこだわりたいですね」
− 実家を離れてみて、よかったことはありますか?
「常識を知れたのは大きかったかもしれません。みんながやっている、家賃を払う、水道代を払う、とか、経験ができたことで、人と話すときの会話のネタが増えました。一人になれる空間は大事な気がします。意外と一人でいたいときもあるので。一人の空間を確保できるのは大きいんじゃないでしょうか」
「ずっと『女優さんになりたい』って言い続けようと思います」

− 大人気作品の舞台化『鬼滅の刃』で禰豆子役をされていたりと、今、女優としてステップアップされている髙石さんですが、どんな心境でいらっしゃいますか?
「もっと上にいきたいなって思うんですけど、その上というのが自分にとって何なのか、というのもわからないでいます。私、小さいころからずっと『女優さんになりたい』って言っていて、でも女優さんというのがどんな職業なのかもわからずに言っていたんです。『なりたい』って言っていた時期がすごく楽しかったんですよね、何もわからない場所へ飛び込んでいくことが。
でもいざ女優として活動を始めたら、事務所や関わってくださる大人の方々から『具体的に “この作品に出たい” とか、もっとわかりやすい目標をもって』と言われたことがあって。それを考えたらわからなくなってしまった時期がありました。“女優、髙石あかり” として外に名前が出るたびに『私が求めていた女優というお仕事は、こういうことなのかな』とふと思ったりしました。
そんなときに尾野真千子さんのインタビューを読む機会があったんです。そしたら尾野さんが『女優になりたい』と語っていらして。こんなにすごい方でも、そんなことをおっしゃるのかと思ったら『私はまだ女優になれていないんだ』と嬉しくなりました。
もっともっと知らない世界を見たい、女優になりたい!と言えることが嬉しかったんです。もっと頑張ろうって思えたきっかけで、だから『女優さんになりたいです!』って言い続けようかと思っています」
− 一生勉強、という世界なのかもしれないですね。とはいえ、着々と作品が決まっている中で、今、大切にされていることはありますか?
「それを今はもたないようにしているのかもしれません。いただく役によって、大切にすることは変わってくると思っていて、もしかしたら人から『髙石あかりってこういうお芝居だよね』って思われたくないのかもしれません。幅広く役を楽しみたいなあと思います」

− 7月30日(金)から初の主演映画『ベイビーわるきゅーれ』が公開となりますね! 見どころはどんなところでしょうか?
「私は殺し屋の役なんですけど、高校を卒業したばかりの殺し屋の女の子たちが社会に出て、自分たちで家事をしないといけなくなって、洗濯機の使い方がわからなかったり、光熱費の支払いに追われたり、そういう日常的なシーンも多く含まれているので、殺し屋のイメージが変わる作品だなと思っています。その中で殺しのシーンがあるので、日常シーンとのギャップは見どころのひとつです」
− その2つは真逆のシーンですね! アクションシーンはいかがでしたか?
「共演の伊澤彩織さんがスタントマンをされている方なので、アクションがすごすぎて、最後のほうのシーンでは1対1で銃もなしで素手で戦うんですけど、それが今まで観たアクション作品の中で、飛びぬけてカッコよくて!
アクションなんですけど、アクションではないような…感情と感情のぶつかりあいみたいなものを目の当たりにして、感動して泣きそうになってしまったんです。そんなシーンと日常のちょっとダラダラしたシーンとのギャップが伊澤さんの技術力なんだと、圧倒されました」
− この映画で、そういった勉強もできて、ご自身でも新しい挑戦をされたんですね。
「そうですね。今まで私は舞台のお仕事が多かったので、映画の世界はわからないことだらけの中でやっていました。舞台は1カ月間くらいずっと、演出家さんと一緒に正解に限りなく近づけて本番にもっていって、本番ではお芝居としての正解は出ている中でセリフを間違えないようにといった細かい部分を気を付けていくんです。
映像のほうは自分でお芝居を作って、本番直前のテストで “アクション” がかかったら監督にその演技を初めて見てもらえるという違いがあって。セリフは間違えても究極、何回も撮り直すことができますが、お芝居自体は間違えちゃいけないという間逆の怖さがありました。でもそれが刺激的で面白いな、と感じています」

− 共演者の方々とのエピソードも教えてください。
「ずっと伊澤さんと毎日過ごしていたんですけど、おでんを食べるシーンが劇中にあるんですが、台本で5、6ページある量のセリフを一発撮りで長回ししたんです。私が演じた “ちさと” がしゃべりたがりの女の子なのもあって、すごい長ゼリフだったんですけど、そこにアクションも組み込まれていて。それを何回も繰り返して撮ったのが思い出深いです」
− 慣れない映画撮影でのプレッシャーもあったと思いますが、プレッシャーをどうやってはねのけていましたか?
「それが、あまりプレッシャーを感じていなくて。毎日楽しかったなあと思いながら帰宅して、家で台本を読み直してまた次の日、現場に向かっていました。あったかい現場だったおかげだと思います」
− ここは絶対に観てほしいというシーンを教えてください。
「2秒くらいのあいだに銃を奪うというアクションシーンは、この作品の中で、一番練習したアクションなのでぜひ観ていただきたいです! 体を動かすことは好きなんですけど、アクションを今までやったことはなかったので、探り探りやった、頑張ったシーンです」
− 以前、ダンスヴォーカルグループで活動していらっしゃったので、ダンスの経験もアクションに活きていそうですね。
「自分ではあまりわからなかったんですけど、伊澤さんから『倒れるシーンの倒れ方が上手、ダンスをやっていたからだと思う』と言っていただいたので、活きているんだと思います」

映画「ベイビーわるきゅーれ」は7月30日(金)~テアトル新宿、8/20(金)~シネ・リーブル梅田 他にて全国公開
舞台「鬼滅の刃 其ノ弐 絆」は8月7日(日)より上演
Text by 藤坂美樹 Photo by 今井淳史