引越しには、ドラマがある。あの日、あのとき、どんな想いで新生活をスタートしたのか、そして当時の経験が今にどうつながっているのかを伺うインタビューです。
今回お話を伺ったのは、俳優の北川 尚弥(きたがわ なおや)さんです。第26回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のファイナリストになったことをきっかけに芸能界デビューし、北海道から上京。ミュージカル『テニスの王子様』、舞台『刀剣乱舞』など2.5次元舞台を中心に出演するほか、映画やドラマなどでも活躍されています。今回は、そんな北川さんに、上京時のエピソードやご自宅での過ごし方を伺いました。
北川 尚弥(きたがわ なおや)●1996年5月15日生まれ。北海道出身。第26回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストファイナリスト。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン – 南健太郎 役でデビュー。その後2.5次元舞台を中心に活躍中。主な出演作に音楽劇『金色のコルダBlue♪Sky』 芹沢睦 役・ミュージカル『スタミュ』シリーズ 申渡栄吾 役・『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ シリーズ』朱桜司 役・舞台『刀剣乱舞』 骨喰藤四郎 役・ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』 主演長谷川康太 役・舞台『死神遣いの事件帖 -鎮魂侠曲- 』伝吉 役などがある。またJohn Darling「ナイモノネダリ」MVにも出演し話題に。今後の出演作として舞台『刀剣乱舞』大坂冬の陣 公演(IHIステージアラウンド東京)が控えている
急きょ前倒しになり、慌ただしく上京!
− 北川さんは北海道出身とのことですが、はじめに、上京のきっかけを教えてください。
「母と姉が応募した第26回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のファイナリストになったことがきっかけです。芸能活動を始めることが決まり、大学進学も兼ねて高校を卒業してすぐに上京したのですが、実は……初めは家がありませんでした(笑)。というのも、オーディションを受けるために急きょ、予定より2週間くらい早めて上京することになったので、事務所の寮を借りて生活することになったんです。一軒家に一人きりという環境だったのですが、マネージャーさんが『いきなり一人暮らしでは大変だろう』と心配して泊まり込んでくれて、謎の同居生活が始まりました(笑)」
− そんなことが……。寮では、どのように過ごしていたのでしょうか?
「何を話したか覚えていないくらい、毎日が目まぐるしかったです(笑)。オーディション以外は、寮の周辺をひたすら探検していたことを覚えています。不安を感じる間もなく、事務所の人たちとお部屋探しからスタートしたのは、いい思い出ですね」
− 寮を出る際のお部屋探しは、どのような条件で探していたのですか?
「はじめての一人暮らしだったこともあり、あまりこだわりはなく、大学の近くで探しました。その後、ミュージカル『テニスの王子様』への出演が決まるなどして芸能一本でやっていく覚悟が決まり、稽古場へ通いやすいところに引っ越し、大学も中退することにしました」
− アクセスを重視されているんですね。初めてのひとり暮らしで、家事や自炊に苦戦される方もいらっしゃると思います。北川さんはいかがでしたか?
「実家では家事も食事もやってもらっていたので、家族のありがたみを実感しました。ですが、そんなに苦労はしなくて。洗濯機も昔のように手でやっていたら大変だと思いますが(笑)、『洗濯機のボタンを押すだけだし、大丈夫だ!』とポジティブに考えて、できるようになりました」
− ポジティブ思考がひとり暮らしを成功させる秘訣かもしれないですね! 家族のありがたみを実感されたとのことですが、上京して改めて、地元・北海道の魅力を感じる機会はありましたか?
「やっぱり地元は、自然が多いところが魅力です。あとは、ご飯が美味しいところ! 北海道に着くと『帰ってきたなあ』と落ち着きます」

お部屋探しは、アクセスのよさを最重視
− これまでの一人暮らしで、印象的なエピソードがあれば、教えてください。
「上京して2番目に住んだ部屋が浸水したこと、ですね(笑)。木造の3階建てアパートの一階に住んでいたのですが、2階の部屋の洗濯機のホースが外れていたみたいで……。しかもその2週間後くらいに、その洗濯機置き場からゴキブリが大量発生しました。更新のタイミングだったこともあって、『これは引っ越しのタイミングだな』と(笑)」
− すごい、絶妙なタイミングですね(笑)。ひとり暮らしのハプニングも経て、あらためて生活に必要だと感じた条件はありますか?
「地方公演で自宅を空けることも多いので、部屋にこだわりはあんまりないのですが……強いて言うなら、バストイレ別、浴室乾燥機ですね。夜に干して朝になったら乾いているので、便利だなと思います。それからやっぱり、アクセスのよさも重要です。今住んでいる部屋は今まででもっとも狭いのですが、移動もしやすいし、キッチンも2口コンロなので、一番気に入っています。もし次引っ越すとしたら、もう少し広くて、追い焚き機能があったら嬉しいですね」
− 自宅では、どのように過ごすことが多いですか?
「稽古場では稽古場でしかやれないことをやりたいので、自宅ではひとりでやれることをやっています。台本を覚えたり、殺陣の練習をしたり……。あとは、自炊でしょうか。スーパーも混んでいない時間帯に行くので、食費も抑えられるんですよ。こう見えて、家計の管理はしっかりしているんです(笑)。
休む時間も大切にしていて、枕にはこだわりがあります。いろいろ試すうちに数がだいぶ増えてしまって、そのときの気分で『今晩はこれにしようかな』と決めています(笑)。早くぴったりな枕と出会いたいですね」
舞台『刀剣乱舞』大坂 冬の陣

− 来年1月から舞台『刀剣乱舞』大坂 冬の陣が開幕します。骨喰藤四郎役として四度目の出演になりますが、決まったときのご感想はいかがでしたか。
「率直に嬉しかったです。骨喰藤四郎を演じるのは一年半ぶりくらいになるのですが、ファンの方々も喜んでくれて『見守ってくださっているんだな』と感じました。今回は相方のような存在である鯰尾藤四郎も出演するので、これまでとはまた違った骨喰藤四郎の一面を見てもらえるかな、と思います。また、IHIステージアラウンド東京は初めて立つ劇場なので、どんな劇場なのか今から楽しみです」
− どのように演じていきたいとお考えですか?
「まだ稽古もはじまっていないのですが(※取材は10月)、役作りは僕自身の気持ちと関わっていく部分もあると思っていて。少しでも骨喰藤四郎に近づいていけるように向き合いながら、お客様が没頭して観られる世界観を作っていきたいです」
− 上京して6年目ですが、当時と比べて変わったところ、成長したところはありますか?
「人見知りをあまりしなくなりました。デビュー当時から同じマネージャーさんが担当してくれているのですが、上京当時は今よりも無口だったし、腹を割って話すこともなかったんです。ここ数年で、いろんな話をするようになって、だんだんと変わっていきました。これまでたくさんの先輩にお世話になってきましたが、自分ももう24歳だし、だんだんと後輩が増えてきたので、今後は後輩の面倒もみられる人になりたいですね」
− 最後に、舞台に向けての意気込みをお聞かせください。
「まずは無事に初日の幕が開くことを祈っています。舞台に立てることは当たり前ではなく、たくさんの人に支えてもらっているからこそだと改めて感じているので、感謝を胸に、皆さんの心に残せるよう、精一杯演じていきたいです」

【舞台情報】
舞台『刀剣乱舞』大坂冬の陣 公演
原案 「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
脚本・演出 末満健一
日程 2021年1月10日(日)~3月28日(日)
【劇場】IHIステージアラウンド東京
【出演】一期一振:本田礼生 鯰尾藤四郎:前嶋 曜 骨喰藤四郎:北川尚弥 宗三左文字:佐々木喜英 加州清光:松田 凌 太閤左文字:北乃颯希
真田信繁:鈴木裕樹 大野治長:姜 暢雄 豊臣秀頼:小松準弥 弥助:日南田顕久 阿形:安田桃太郎 吽形:杉山圭一
徳川家康:松村雄基
山姥切国広:荒牧慶彦 他
チケット価格 全席指定 – 16,000円
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Text by 高城 つかさ Photo by 森田 剛史