一人暮らしは、波乱万丈な幕開け! アルバイトをしながら俳優を目指した磯村勇斗の上京ストーリー

引越しには、ドラマがある。あの日、あのとき、どんな想いで新生活をスタートしたのか、そして当時の経験が今にどうつながっているのかを伺うインタビューです。

今回お話を伺ったのは、俳優の磯村 勇斗(いそむら はやと)さんです。中学生の頃、映画を自主制作されたことをきっかけに役者への道を歩み始めた磯村さんは、「大学に進学する」という条件で地元・静岡から上京されました。以来、数回の引越しを経験しているという磯村さんが、“勝負の街・東京” での暮らしを、振り返ります。

大志を抱き、勝負の街・東京へ

− 大学進学をきっかけに上京されたとのことですが、もともと東京にはどのようなイメー ジがありましたか?

「東京は、俳優人生にとっても “勝負の街” というイメージをもっていました。地方からはも ちろん、世界中からたくさんの人が集まる、“異世界” のような……。静岡から東京までは 1時間ほどなので、上京前から遊びに行くことは多かったのですが、いざ東京に住むとなると気が引き締まりましたね」

− 上京するとなったとき、ご両親や同級生の反応はいかがでしたか?

「本当は進学せずに俳優の仕事をしたかったのですが両親に反対され、お芝居のできる大学に行くということで合意して、上京しました。同級生には上京組が多かったので、寂しさはあまりなかったですね。いまでも地元の友人とは会っています」

− 上京時は、どのようにお部屋探しをしましたか?

「大学に通いやすいエリアで部屋を探しました。内見のためだけにわざわざ上京するのは 大変なので、内見せずに契約をしたんです。アルバイトをしながら生活することはわかっていたので、何よりも家賃を抑えられることを重視。そのため、駅から20分ほど離れた、1階の部屋を選びました。ただ、バス・トイレ別だけははずせなかったですね」

− そうして、お芝居を学びながら大学生活をスタートしたのですね。

「実は、大学は2年半で中退したんです。学生生活も楽しかったのですが、やはり『一刻も早くプロとして芝居をしたい』と思ったので。当然両親には反対されましたが、自分の意思を貫いて、アルバイトをしながら生活をしました。今では家族も、僕が頑張っている姿を認めてくれて、応援してくれています」

ハプニング続きの、初めての一人暮らし

ヘアメイク:佐藤友勝 スタイリスト:齋藤良介

− 当時の、印象的なエピソードがあれば教えてください。

「最初の家は本当にいろんなハプニングがあったんですよ……。特に印象的だったのは、鍵 を忘れたらしい上階の住人が、深夜に僕の部屋のベランダに侵入して、よじ登って帰ろうと したことです。突然大きな音がしたので驚いてベランダのドアを開けたら、上に誰かが登っ ていくのが見えて(笑)。大きな音は、物干し竿を支える部分が壊れた音でした」

− ええ!?

「翌日、その人が謝罪にきてビールをくれたのですが……開けてみたら、賞味期限が1年過ぎていました(笑)」

− すごい。もはや持っているとしか思えないです……!(笑)

「いろいろなプチ事件が起きておもしろかったですよ。変わった住人が多くて……。でもベランダからの眺めは最高でしたし、駅から離れているからか街灯も少なく、星空が見えることもあって、好きな雰囲気でした。あそこに住むことができてよかったな、と思います」

− 磯村さんはたびたび引越しをされているそうですが、どんなタイミングで引越しを決め るのですか? また、こだわりの条件があれば教えてください。

「更新もひとつのタイミングではありますが、一番は気分ですね。こだわりは、バス・トイレ別、南向き。あと、料理をするのでキッチンも重視しています。できれば2口以上。フライパンを振って調理することを考えると、ガスコンロがよいですね。強火で炒めるときの気持ちいい音が好きです」

アンバーのジャケット ¥58,000、カットソー ¥16,000、パンツ ¥41,000(すべてスタジオファブワーク ☎︎03・6438・9575)、その他スタイリスト私物

TBS系 金曜ドラマ『恋する母たち』

− 磯村さんは、明日 10月23日(金)よる10時より放送の TBS系金曜ドラマ『恋する母たち』に吉田羊さん演じる林優子の後輩・赤坂剛として出演されます。ご自身と赤坂には共通点がありますか?

「赤坂は年上の優子さんを気になるからこそちょっかいを出す、犬っぽさもあり、Sっ気もある男性。 “古いものに捉われずに新しいものを開拓していく” という部分では僕と考え方が似ているかもしれません。昔からあるものを全てとは思わず、新しい角度から物事を見て、 チャレンジしていきたい、というか」

− ドラマではどんな赤坂剛が見られるのか、楽しみです。現在撮影中ということですが、どのような雰囲気で進んでいますか。

「活気で満ち溢れていますよ。女性がドキッとしそうなシチュエーションが盛りだくさんなので、『どういう芝居をすれば、視聴者の方がキュンとするんだろう』と監督や吉田羊さんと探りながら撮影をしています」

− 赤坂剛はどのようなお部屋に住んでいると想像されますか?

「赤坂って、結構いい時計を身につけているんですよね。きっちりしているし、ちょっとお高いタワーマンションに住んでいそうだな、と思います。1LDK……いや、2LDK に住んでいてもおかしくないんじゃないでしょうか。コレクションをするのも好きそうだと思います。視聴者のみなさんにもぜひ想像していただきたいですね」

− 磯村さんご自身も、そんな部屋に住んでみたいと思いますか?

「僕はもっと、のんびりと過ごせる部屋がいいです。土地だったり、入ってくる風の感じが “清い(きよい)” ところに住みたいです。庭付きの家にも憧れますね」

− いよいよ放送開始です。見どころを教えてください。

「視聴者の皆さんが少しでもキュンとしてくれる作品にしたいです。結婚している人も、これから恋をする人も、皆さんの恋の後押しをできると思うので、ぜひ見守っていただきたいです」

− 最後に、今後ご自身がやりたいことや意気込みをお願いします。

「こんなご時世ですし、苦しんでいる人や、暗くなっている人もいると思います。そういう人たちに俳優というフィルターを通して少しでも勇気づけられる存在でありたいな、と感じています。夢を目指している皆さんも大変だとは思うけれど、だからと言って夢を諦めるのではなく、自分を深めてスキルを上げる準備期間だと考えて、有意義な時間を過ごしてほしいです」

【番組情報】
TBS系 金曜ドラマ 『恋する母たち』
10月23日スタート 毎週金曜 よる10:00〜10:54(初回15分拡大)
原作・柴門ふみ × 脚本・大石静
新時代を生き抜くすべての人に送るラブストーリー!
19年ぶりTBS連続ドラマ主演・木村佳乃
共演に吉田羊・仲里依紗
秘密と悩みを抱える美しい母たちの三者三様の運命を描く!

Text by 高城つかさ Photo by 天沼 彩