引越しには、ドラマがある。あの日、あのとき、どんな想いで新生活をスタートしたのか、そして当時の経験が今にどうつながっているのかを伺うインタビューです。
今回お話を伺ったのは、NMB48の元メンバーで現在はタレントとして活動する磯 佳奈江(いそ かなえ)さんです。茨城出身の彼女自身、想像もしていなかった大阪でのアイドル活動。グループを卒業後に上京、心機一転、新たに始めたYouTubeなど、ターニングポイントとなった引越しストーリーを伺いました。
磯 佳奈江(いそ かなえ)●1993年8月9日生まれ。茨城県石岡市出身。2013年から2019年までNMB48のメンバーとして活動。小学校時代は全国大会で8位まで行ったほどサッカーが得意な事から「W杯開幕!ホントの見どころ教えます」(NHK)や「やべっちF.C.」(テレビ朝日系)など、数多くのサッカー番組に出演。2020年4月からYouTubeチャンネル「いそちゃんTV」を更新中。今月17日に1st写真集「磯 佳奈江1st写真集 いそちゃん」(KADOKAWA刊)を発売
大阪で始まった、初めての一人暮らし

− 2013年、20歳のときに「第1回AKB48グループ ドラフト会議」でNMB48に加わってから、2019年に卒業するまで6年間、大阪を拠点にアイドル活動をしていた磯さん。大阪でのひとり暮らしは、大変なことも多かったのではないでしょうか?
「大変なことばかりでしたね。その分、楽しいことも多かったですけど(笑)。まず、その『ドラフト会議』がどの48グループに入れるかわからないという指名制のオーディションだったので、まさか茨城出身の自分がNMB48に入れるとは思っていなくて……最初は本当にびっくりしました。出身地の考慮とかあるのかなと少し思っていたんですけど、全然そういうこともなく(笑)」
− それまで大阪に何か縁があったということも……?
「全くなかったんです。旅行で訪れたこともなければ、親戚も友だちもいない。初めて行く場所で、何も分からないところから一人暮らしが始まって。それまでずっと実家だったので、それが初めての一人暮らしだったんですよ。
引越しの日は、母が大阪に来て手伝ってくれたんですけど、泣きそうな顔で『バイバイ』って言っていたのをすごく覚えてますね。ちょうど日曜日で『ちびまる子ちゃん』を涙目で観てたなあって思い出しました」
− 聞いてるだけで寂しくなっちゃいますね。磯さんはもともとアイドル志望だったんですか?
「小さい頃は、兄の影響で始めたサッカーが楽しくて、サッカー選手になりたいと思っていました。でも、同級生にすごく上手い子が現れて『こういう子がプロになるんだな』と思って諦めてしまって。実際、その子はプロとして今も活躍しています。
そのあとですね。もともとモーニング娘。さんが好きで、ステージから見る景色はどんな景色なんだろうと憧れていて。『アイドルになりたい』という夢はそこからずっともっていたので、大阪への引越しは夢が叶った瞬間でもありました。
NMB48のメンバーになれたことと、大阪に引越しをしたことが私の人生のなかで、ひとつめのターニングポイントだと思っています」
引っ越しは「気持ちを整理するタイミング」

− その後、大阪で活動しながら大学を卒業。アイドル一本になることに怖さはありませんでしたか?
「怖さというよりも、覚悟を決めて『やってやるぞ!』という思いでした。実は、そのあとに大阪で2度目の引越しをしているんです。それまではNMB48の活動に大学のこと、めまぐるしく変わる毎日に没頭していたんですけど、やっと余裕が出てきて、周りが見られるようになったら寂しくなっちゃって。気分転換に新しいところに行きたいなと思って、引越ししました」
− そのときのお部屋選びでこだわったポイントはありますか?
「絶対ベランダがある部屋! でしたね。洗濯物を外に干したい!……臭くなるからっていう単純な理由なんですけど(笑)。でも、結局ベランダは全然使わなかったんですよ。なかなか洗濯物を取り込むタイミングに帰宅できなくて。夜になって湿っちゃったり、雨が降っちゃったり(笑)」
− 一人暮らしあるあるですね。NMB48を卒業したあと、改めて上京するときはいかがでしたか?
「新たな場所に行くというのは同じですけど、大阪に初めて来たときとは、また全然違う気持ちでした。あんなにホームシックだったのに、いざ大阪を離れるとなるとやっぱり寂しくて。今振り返ると、自分が大阪に住むなんて思ってもいなかったけど、初めての一人暮らしが大阪でよかった。本当にいい経験でした。大阪が第二の故郷だと思えるほど近い存在になりました。
今もたまに自分が住んでいたお部屋をチェックしたりするんですよ。空室になってたら寂しいなと思って(笑)。あと、今ちょうど引越ししたいなと思っていて、お部屋探し中なんです!」
− 今は、何を一番優先して探していらっしゃるんですか?
「YouTube用の撮影部屋が欲しいなと思っているので、狭くても独立したお部屋がある間取りで探しています。今は機材をその度に片付けているので、専用のお部屋があればもっとスムーズだなと」
− YouTube撮影のための引越しですね。これまでの引越しを振り返って思うことはありますか?
「新たなものを始めたときや、ステップアップしたときに引越しを考えているような気がします。
最初の一人暮らしはオーディションに受かって夢が叶ったタイミングで、大阪での2度目の引越しもそこから少し気持ちに余裕ができて、心機一転したいときでした。今も今年4月にYouTubeを新しく始めたことから引越しを考えている。引越しすることで、自分の気持ちも整理しているのかなと思います」
『磯 佳奈江1st写真集 いそちゃん』

− 磯さんにとって初めての写真集ですね。一番の見どころは?
「やっぱり大人になった、NMB48を卒業して新しくなった自分を見て頂きたいです。メイクも髪型もスタイリングも、全部自分でリクエストして『こんなふうに撮りたい』っていう願望を叶えてもらったんです。自分がやりたかったことを全部詰め込みました!
NMB48の元メンバーとの対談ページもあるんですけど、この対談原稿は文字起こしから全部、私が自分で書いたんですよ! もともと文章を書くのが苦手で、NMB48時代もほとんどブログを書かなかった私なのに(笑)。それも含めていろいろと挑戦した写真集になっています。またひとつ、新たなターニングポイントになったんじゃないかなと思っています」
− 最後に、今後の活動について意気込みや目標を教えてください。
「まずはYouTube『いそちゃんTV』をしっかりと更新していきたいです。まだ始めたばかりなので、今は企画ものが多いんですけど、こだわった映像を作りたいですし、もともとスポーツが好きで今もトレーニングは欠かしていないので、簡単にできる筋トレ講座などもやってみたいなと思っています。でも、まずは撮影部屋を作れるように引越しするところからですね!」
【出版概要】
タイトル:『磯 佳奈江1st写真集 いそちゃん』
発行:株式会社KADOKAWA
発売日:2020年9月17日 定価:2,500円+税
書店、ネット書店にて販売
Text by 吉田 光枝 Photo by 天沼 彩