お部屋は、そこに住む人の価値観が反映された特別なスペースです。今回は、子どもも大人も楽しく過ごせるおうちづくりを実践しているkensさんのご自宅をご紹介。
小物からテーブルまでDIYでなんでも作ってしまうだけなく、ベランピング*ができるバルコニーや、室内なのにキャンプ場のようなロフトなど、創意工夫に満ちた空間を作りあげるkensさんに、夢のご自宅ができるまでのお話を伺いました。
*ベランピング:ベランダでおこなうグランピング(キャンプの一種)の意。3密を避けておうち時間を楽しめるとして人気が高まっている
故郷の潮風を感じるような、開放的な自宅

kensさんが奥様と4人のお子様と一緒に暮らすご自宅は、都内に建つ一軒家。注文住宅として建てた当初は「殺風景だった」そうですが、まずはベランダづくり、そして庭づくり……と手を入れていくうちに、気づけばすっかりkensさんのカラーに染まっていたそうです。
初めにこだわり始めたというベランダは、海沿いのカフェに来たかのようなリゾッチな雰囲気です。

大きなパラソルと、その上に設置されたサンシェードのおかげで、雨の日も問題なくここで過ごすことができるそうです。休みの日に昼からビールを飲んだり、子どもたちの遊び場になったりと大人気のスペースです。

ベランダに隣接したリビングにはハンモックがぶら下がっていたり、手作りの家具が存在感を放っていたりと、遊び心が満載。また、左手のはしご階段はロフトにつながっていて、のぼってみると……


キャンプ場に見立てた、秘密の空間が広がります! キャンプ用の椅子を置いたことで天井の近さも気にならずに過ごせます。プロジェクターが置いてあって、子どもたちの要望に応じて “おうち映画館” にも早変わり!
この投稿をInstagramで見る
− 全体的にリゾート感のある空間ですが、何か意識されているイメージはあるのでしょうか。
「ハワイのホテルで感じるような、開放的でナチュラルな雰囲気を家の中で演出したいと思って作っています。地元が三重県の伊勢で、海の近くで育ったので、故郷を感じられるような気がして落ち着くんです。帰省したときには、よく海岸に素材を探しに行っています。たとえばダイニングの照明は、伊勢の海岸で拾った流木に市販の3連の照明を組み合わせて作りました。小物類も、伊勢で拾った素材を多用しています」


− すごい! 一点ものの風格がありますね。
「自然のものって、すごく味があるんですよね。もしこの雰囲気を作り出そうとしたら、木の素材にエイジング加工でもするんでしょうけど、それはやっぱりニセモノの雰囲気ですよね。これは拾ってきて洗っただけですから。しかも無料ですし」
− 宝探しのようでとても楽しそうです。……ちなみに、この流木は手に持って新幹線に乗ったのですか?(笑)
「そうです(笑)」
大人も子どもも楽しめる工夫がたくさん
− ところで、お子さんがいらっしゃると物が増えて散らかりがちになり、なかなか家のこだわりと両立できないという声をよく聞くのですが、kensさんのご自宅はすごくよい塩梅を実現していますよね。
「基本的には自分の好きなテイストで作りつつも、子どもにとっても居心地のよい空間になるよう、バランス感には気をつかっています。たとえば色味ですね。白木をベースに黄色や水色など明るめの色を使い、黒をあまり使いません。一方で、子どもっぽくなりすぎるのも避けたいので、植物のグリーンをアクセントに使って引き締めています」

− Instagramでベランダでプール遊びをしているのを見たのですが、お子さんからしたらテーマパークのようなおうちですよね。
この投稿をInstagramで見る
「新型コロナウィルスの影響であまり外出ができないので、子どもたちが楽しめるよう工夫しています。以前はよくお友達も遊びにきてくれて、誕生日パーティーやクリスマスパーティー、BBQなど家族ぐるみで楽しんでいました」
− 個人的に、キッチンのところにあるお酒のエリアにとても惹かれました。ワインバーやビストロの雰囲気ですね。
この投稿をInstagramで見る
「このグラスラックを自宅に再現できたら外食気分を楽しめるのではと思い、頭をひねりました。ここに設置するならほどよい柱が必要だな、固定するためにはアジャスターを使おう、など逆算していって、イメージ通りにできたときは嬉しかったですね。ワイングラスは普通に収納すると場所をとるので、実用性もあって気に入っています」
− まさに「大人にとっても子どもにとっても楽しめるおうち」ですね……!
DIYのよさは、マイペースにできるところ

− DIYは昔からお好きだったのですか?
「いえ、この家に引越してから始めました。こだわればこだわるほど、市販のもので自分のイメージにぴったり合うものが見つからなくなってくるので、インターネットでイメージに近い写真を探したり、DIYをしている人のブログを参考にしたりしながら、自分でも作るようになりました」
− さきほど伊勢から素材を持ち帰ることが多いと伺ったのですが、まず最初に作りたいものを思い浮かべるのか、それともこの素材を使って何か作ろうと思うのか、どちらなのでしょうか。
「どちらもありますよ。必要に応じて作ることも多いですが、たとえばリビングにあるローテーブルは、ブルーのローラーが気に入っていて、これを使いたくて作りました」

「こちらは子どもに本棚を作ってあげたいなと思い、作ったものですね。かなり初期の作品です」

− 見渡すだけでも紹介しきれないくらいたくさんの作品がありますが、一点作るのにどれくらいの時間がかかるのですか?
「物によりますが、作る時間自体は半日程度です。それよりも作り始めるまで、どういう材料を使おうかとか、どういう設計にするかとか、計画を立てるのに一週間くらいかかります。そうは言っても、結構気らくに作っていますよ。売り物のクオリティをめざそうと思ったら大変なことですが、あくまで自分や家族、友達で楽しめればよいので。耐久年数が短くてもまた作ればよいし、色だってまた塗り直せばよいだけですから」

− 家具だけでなく小物までいろいろ作られているのが印象的なのですが、作ること自体がライフワークになっているのでしょうか。
「モチベーションのむらはすごくあります。作りたいときは寝る間も惜しんで作り続けますが、やらないときは全然やりません。それもDIYのよさだと思っていて、たとえば会社での仕事は上司やチームの意見、予算、スケジュールなどいろいろな都合があって、自分だけの意志で物事を進められないことがありますが、DIYはすべて自分のペースで完結できるので気負わなくてよいです。作るたびに達成感が得られるのが楽しくて、気づけばこんなにいろいろ作っていました」
− ご家族の反応を教えてください。
「妻はインテリアにこだわりがなく、基本的には『好きにしていいよ〜』というスタンスなので自由にさせてもらっていますが、『これはセンスない』とか『じゃま!』というダメ出しをもらうこともあります(笑)。逆に『これすごくよいね!』と言われるとモチベーションが上がります。子供たちとは一緒にペンキ塗りをしたり、たまには工作したりもします」
この投稿をInstagramで見る
− コロナ鬱ということばもある中で、kensさんのお話を聞いていると「おうちで楽しむアイディアってこんなにたくさんあるんだ!」と新鮮な発見ばかりです。
「『自分で楽しむ暮らしは自分で作りたい』と常々思っています。今年は帰省も断念せざるを得ませんでしたが、先日新しい家族も増えたばかりですし、おうち時間をとことん楽しめればと思っています」
しばしば「お父さんの趣味」はご家族と切り離したものになりがちですが、kensさんはご自身で楽しみながら、ご家族も笑顔にしている点に感銘を受けました。お子さんの成長に合わせ、おうちもどんどん表情を変えていくのだろうと想像でき、今後もSNSを通して暮らしぶりを拝見するのがとても楽しみです。
Text by 鈴木 紀子 Photo by 今井 淳史
OHEYAGO(オヘヤゴー)でベランダ付き物件をチェック