引越しには、ドラマがある。あの日、あのとき、どんな想いで新生活をスタートしたのか、そして当時の経験が今にどうつながっているのかを伺うインタビューです。
今回お話を伺ったのは、30歳の誕生日を迎える8月20日に、自身初となるメモリアルブックの発売を控える森崎ウィンさんです。歌手・俳優として国内外で活躍する森崎さんは、ミャンマー生まれ、ミャンマー育ち。小学校4年生のときにご両親と暮らすため日本に渡り、中学3年生のときから芸能活動をスタートされました。森崎さんの原点ともいえるこの引越しは、彼にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。
1990年8月20日生まれ。2008年よりダンスボーカルユニット・PRIZMAX(現、解散)のメインボーカルをつとめ、今夏「MORISAKI WIN」として世界進出を掲げメジャーデビュー。2018年、日緬共同制作映画『My Country My Home』に出演、そのスピンオフであるドラマ版『My Dream My Life』では主演を務め、ミャンマーで大ブレイク。同年スティーブン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー1』のオーディションでメインキャストであるダイトウ/トシロウ役に抜擢され、ハリウッドデビューを果たした。2019年公開の映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。また主演を務めたメ~テレ制作の連続ドラマ『本気のしるし』の劇場版(今秋公開)は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection 2020」作品に選出された。2020年は世界中で再演を重ねているミュージカルの金字塔「ウエスト・サイド・ストーリー」の日本キャスト版Season2(主演:トニー役)に出演。
文化も言語もわからない日本へ……
− もう20年前のことですが、10歳で初めて日本へきたときのことは覚えていますか?
「覚えています。日本へ行くことが決まったときは、やだなあと思っていたんですよ。もちろん今となっては来てよかったと思うのですが、当時は日本の文化も言葉も知らなくて、慣れ親しんだ場所を離れる不安が大きかったので」
− 日本語が話せないのでは、大変でしたよね。
「しんどかったです、いじめもありましたし。でも、学校がとても親身になってくれて、国語だけ別室で先生との1:1の授業を受けられるようにしてくれたので、1年後にはほとんど問題なく話せるようになりました」
− 1年で日本語を! それはすごすぎます!
「子供はやっぱり吸収力が全然違うんですよね。まあ、僕の耳がよいというのもあるんですけど(笑)」
− さすがです……! それから4年ほど後にスカウトされたということですが、そのときはどう思いましたか?
「怪しいなって(笑)。当時、芸能事務所絡みの詐欺事件が増えていた時期だったので、家族で怪しんでしまいました。大丈夫だったのですが。最初は軽い気持ちでレッスンを受けに行っていたのですが、オーディション、お仕事……と挑戦していくうちに、純粋にこの世界に惹かれていきました。自分が何かすることによって、誰かに影響を与えたり勇気づけたりできることにやりがいを感じていますし、それによってミャンマーの子供たちにも夢を与えることができていることが、とても嬉しいです」
その家にふさわしい人へと成長できる

− 森崎さんは、日本でもたびたび引越しを経験されているそうですが、これまでどのようなタイミングで引越しをしてきましたか?
「経験や実績を積み上げて、次のステージへ進むタイミングですね。物が増えてくると手狭になってくるじゃないですか。そういうときにどこからともなく、『君はもうここでは収まらない。ステップアップする時期だよ』と言われているような気になるんです。19歳で初めて一人暮らしをしたときは 1K 56,000円の狭いアパートでしたが、引越しのたびに少しずつ部屋も広くなっていきました。
実は4日前にも引越したばかりなんです! いつも寝室に作曲用の作業机を置いているのですが、その机が大きいのでこれまではかなり窮屈でした。今回、部屋が広くなったおかげでついにちょうどよい配置になってすごく嬉しいですね」
− 30歳という節目で、またステップアップできたということですね。
「ステップアップして終わり、ではなくさらに “この家にふさわしい人” に成長しようという意欲につながっています。なので、ここからまた大きく変わっていくんじゃないかという気がしていますね。30代では、暮らしの余裕を楽しみたいです。早速今朝も、豆を挽いてコーヒーの香りを楽しむという、優雅な時間を堪能してきました。あとは最近自炊にもハマっているので、食器やフライパンも買い足しました。おうち時間が充実していきそうです」
− “丁寧な暮らし” ですね! 森崎さんはお部屋へのこだわりはおもちですか?
「部屋が充実していく過程は楽しいですね。今はまだ引っ越したばかりでよそよそしい感じなので、あそこに絵を飾りたいなとか、観葉植物を置いてみようかなとか、棚に目隠しの布をつけようかなとか考えてわくわくしています。中でも、すぐにやりたいのは絵を飾ることですね」
− 飾る絵によってお部屋の印象はがらりと変わりますよね。森崎さんがどんな絵を選ばれるのか、楽しみです。ちなみにこれまで、何回の引越しを経験されているのですか?
「実家の引越しも数えると、今回が6回目です。もう慣れたもので、マネージャーさんが借りてくれた2トントラックに自ら荷物を積んで引越しをしました。組み立て式の家具が多いので、引越しにあたって一度解体して、また組み立ててというのは本当に大変でした」
− たくましい……!
森崎ウィン 30th メモリアルブック – Partner –

− 今回メモリアルブックを出すにあたってどういう心持ちで挑みましたか?
「30年間の集大成を、メモリアルブックという形で出せるということがすごく嬉しかったので、気合が入っています。僕の人生のさまざまな瞬間を切り取った “人生の記録” を、ファンのみなさんに見てもらえることが本当に嬉しいですね。自分でも、10年後に見返したときにいろいろなことを感じると思うので、将来の楽しみが一つ増えました」
− 本書の中で特に注目してほしいポイントがあったら教えてください。
「まず、写真がすごくよいのでぜひゆっくり見ていただきたいです! それからいろんなインタビューがあってどれも赤裸々に語っているので、楽しんでいただければ」
− 西新宿の母に占ってもらっている企画などもあり、バリエーションが豊かですよね。
「あれもすごく楽しかったです(笑)」
− 引越しもして、30周年ももうすぐ迎えて、いろいろと心機一転するタイミングだと思いますが、今後の意気込みを教えてください!
「とにかく、生きる。今はまだ新世界が幕開けしたような気持ちでいるのでまずは地に足つけつつ、刺激や喜び、驚きなどを “与え続けられる人間” でいられるようにインプットしていきたいと思います」

【出版概要】
タイトル:森崎ウィン 30thメモリアルブック -Partner-
発行:ぴあ株式会社
発売:2020年8月20日 定価:2,273円+税
書店、ネット書店にて販売
▼特典ほか詳細はこちらから
https://www.piabooks.com/morisakiwin
▼特設インスタグラム
https://www.instagram.com/pia_win_essay/
Text by 鈴木 紀子 Photo by 今井 淳史
ステップアップしたくなったらOHEYAGO(オヘヤゴー)で部屋探し!